ジアルジアは治ります
こんにちは
福岡県のベンガル猫ブリーダー
Cattery夢猫庵の高倉です
いつもブログをご覧くださり
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今回の記事は写真がありません
楽しみにしてくださっていた方がいらっしゃいましたら、おわびしますm(uu)m
猫のジアルジア症についてです。
猫のジアルジア症は治ります。
ブリーダーの中には、通常の検便でジアルジアが検出されなければ、「うちのキャッテリーにはジアルジアはいません。」という人がいるそうですが、これは間違いです。
ジアルジアは通常の検便では見つかりにくい原虫です。
もっとも、下痢などの臨床症状が現れていれば、通常の検便でも見つかることはあります。
「ブリーダーのように多頭飼育していれば、ジアルジアは居て当たり前。」と言うブリーダーも、衛生観念の意識が低いと思います。
また、「ジアルジアは一度感染すると臨床症状が治まってもキャリアとなり、一生治りません。」などと言うブリーダーは、勉強不足か、または寄生虫を本気で駆除する気持ちがないと思います。
猫の身体から排除すること自体が難しいウイルスは、対症療法で症状を緩和しつつ、自身の免疫がウイルスに打ち勝つことを助けます。
臨床症状が治まって元気になっても、ウイルス自体が猫の身体から居なくなった訳ではありませんから、キャリアになります。
ウイルスとは違い、ジアルジアは猫の身体からジアルジア自体を駆除することができます。
そして、きちんと駆除できたかどうかを確認することができます。
ジアルジアはきちんと駆除して、飼育環境を清潔に衛生的に保てば、治ります。
一度かかれば臨床症状が治っても、一生キャリアになるというのは間違いです。
ジアルジア感染猫本人は下痢もなく、いたって元気にしているが、ジアルジアのシストを環境に排出している、このような状態は確かにキャリアといいます。
下痢などの臨床症状がなく一見元気なキャリアは、ジアルジア専用の検査キットを使うとジアルジア陽性反応が出ます。
顕微鏡でジアルジアの栄養型や耐久型(シスト)を見つける方法とは違い、ジアルジアの専用キットでの検査は、ジアルジアの抗原の有無を調べることが出来るからです。
ジアルジア駆除の第一選択はメトロニダゾール(フラジール)です。
大抵はメトロニダゾールを2週間も投与すればジアルジアは駆除できます。
稀にメトロニダゾールを4週間以上投与しても駆除できない場合があります。
メトロニダゾール(抗生剤)だけでなく、駆虫薬は必ず全ての寄生虫に効果が保障されているわけではないからです。
ジアルジア感染猫そのものは大変健康的で臨床症状が無く、ジアルジア感染猫とジアルジアが上手く共生してしまっている、あるいはジアルジアがメトロニダゾールに耐性を持っているなど、駆除が難しいケースもあります。
その場合はチニダゾールかフェンベンダゾールを投与します。
犬の場合はドロンタールプラスのフェバンテルがフェンベンダゾールに代謝されて、薬効が出ることを期待してドロンタールプラスを投与することが有効です。
猫の場合はその代謝酵素が弱いと考えられるため、薬効はあまり期待できません。
6頭のジアルジア感染猫に投与して、4頭にジアルジアの栄養型排出が見られなくなったとの研究結果が報告されています。
ドロンタールプラスは犬用の薬なので、猫に処方することに難色を示す獣医さんもいらっしゃるそうです。
ドロンタールプラスはメトロニダゾール同様、恐ろしく苦い薬です。
しかも処方される薬の量(一度に飲ませる量)が、ドロンタールプラスはメトロニダゾールの約4倍です。
猫にドロンタールプラスを飲ませるのは至難の技です。
それでも試してみる価値はあると思います。
猫には薬効があまり期待できないことや、猫に飲ませることが難しいことなどの理由で、獣医さんがドロンタールプラスを処方してくれない場合は、フェンベンダゾールそのものを処方してもらえるか問い合わせてみます。
フェンベンダゾールは、日本では大型動物用の駆虫薬として流通しています。
仕入単位が10kgだそうで、使用量が1回あたり1gほどの猫のために仕入れてもらっても、じゃあ残りの9999gをどうするか?となって、町の小動物専門の獣医さんでは処方してもらえないこともあります。
フェンベンダゾールを処方してくれる獣医さんが見つからない時は、パナクールオーラルペーストという商品名のフェンベンダゾールを個人輸入することが出来ます。
パナクールオーラルペーストは、犬猫などの小動物(ペット)用に開発された製品なので投与しやすい利点があります。
ロニダゾールが効くと書かれたサイトなどもありますが、ロニダゾールはもともと鳩用の薬ですし、そもそも日本では認可されていませんので、ロニダゾールはあまりお勧めできません。
ロニダゾールはお勧めできませんが、メトロニダゾール、チニダゾール、フェンベンダゾール(ドロンタールプラス)を適切に投与しても、ジアルジアの抗原検査で陰性にならない場合には、検討してみてはいかがでしょうか?
いくら駆虫薬を飲ませても駆除できない。
あるいは、駆除できたと思っても、ひと月ふた月後に再発することがあります。
これは生活環境からの再感染です。
ジアルジアは感染猫の排便とともに排出され、猫の身体や四肢について生活環境に落ちます。
生活環境に落ちたジアルジアの栄養型は、生活環境中で耐久型(シスト)に変形します。
そしてグルーミングや食器の共有、トイレの共有などで感染猫本人や同居猫の体内に入り、再び栄養型に変形します。
生活環境に落ちたジアルジアの栄養型は、塩素消毒で死にます。
5%次亜塩素酸ナトリウムの30倍希釈液が有効です。
しかし、耐久型(シスト)は塩素消毒では死にません。
アルコール消毒でも死にません。
正確に言うと、10%程度の塩素に20分程度、浸しておくと死滅するらしいですが、市販のハイターやブリーチがおよそ6%程度の次亜塩素酸ナトリウム溶液であることを考えると、それ以上の濃度が必要ということで、実際には塩素消毒はなかなか難 しいと思います。
耐久型(シスト)は、生活環境中で栄養が無くても数か月生き抜いて、再び感染する機会を待つことが出来ます。
ところが、耐久型(シスト)も熱には弱く、60数度の熱湯に数分浸しておくと死滅します。
煮沸消毒する必要はないのですが、熱湯をかけ流すだけでは効果がありません。
60数度の熱湯に浸して、数分間60数度の熱湯を維持する必要があります。
60数度の熱湯に数分というと、とてもアバウトなので、念のため70度以上の熱湯に5分間浸しておくと良いです。
環境中に落ちたジアルジアの栄養型が、どのくらいの時間で耐久型に変化するのかは知りませんが、栄養型も耐久型も60数度の熱湯に数分浸しておくと死滅するのですから、ジアルジアの消毒は熱湯消毒が基本です。
食器類は使用のたびに熱湯消毒をし、トイレは排便のたびに砂を全て入れ替え、トイレ全体を熱湯消毒をします。
毛布やタオル、ベッドなど、熱湯消毒が出来るものは全て熱湯消毒して、出来ないものは焼却処分します。
床や壁、キャットウォークやキャットタワーは、70度以上の熱が出るスチームクリーナーで繰り返し消毒します。
食器を洗ったスポンジや、床を拭いた雑巾も汚染されていると考えて、その都度使い捨てにするか熱湯消毒をします。
食器やトイレだけでなく、ジアルジア感染猫が通った場所、寝た場所を全て消毒しなければ、環境からの再感染を防ぐことは難しいです。
ジアルジア感染猫本人は塩素消毒、熱湯消毒するわけにはいきませんから、ジアルジアが駆除できるまで頻繁にシャンプーします。
ジアルジアは必ず治ります。
ですが、一度感染すると、駆除しにくく消毒に大変な労力が必要で、そして再感染しやすい寄生虫です。
だからと言ってこの、環境からの再感染を「キャリア」と言い放ち、一生治りませんというのは間違いです。
一般の飼い主さんが、ジアルジアの駆虫があまりにも大変すぎて諦めることはよくあるそうです。
単頭飼育の一般の飼い主さんなら、それでも仕方ないのかもしれませんが、ブリーダーがいうべきではありません。と、私は思います。
※私は獣医師ではありません。
ここに掲載した情報は私自身の経験と、複数の獣医さんからの受け売りです。
猫のジアルジアで苦しむ飼い主さんの参考になればと思い掲載しましたが、掲載した情報について一切の責任は負いません。
処方薬の投薬、個人輸入した薬の投薬については、必ずかかりつけの獣医さんに相談してください。
個人輸入については自己責任でお願いします。