初めての子猫の育て方
子猫を迎え入れることが決まった日から嬉しくて楽しみでわくわくしていらっしゃると思います。ここでは初めての子猫を迎え入れるご家族さまへ、これから長いお付き合いになる子猫の基本的な育て方を説明いたします。
ぜひ、ご参考になさってください。
完全室内飼育をお願いします。
屋外はベンガルに限らず、猫にとって危険がたくさんです。
屋外に出ることでノミやダニに寄生されたり、猫同士で喧嘩をして怪我をしたり、あるいは喧嘩のほかに猫同士で舐め合ったりすることで病気に感染するおそれがあります。
喧嘩をしたり舐め合ったりすることで簡単に感染するのに、ワクチンでは予防できない病気があります。
また、猫は道路で自動車をよけることが苦手です。交通事故に合わせないためにも、また悪意の人間による虐待や連れ去りを防ぐためにも、完全室内飼育をお願いします。
リードやハーネスをつけてのお散歩やベランダへ出すこともあまり賛成できません。
ベンガルが快適に暮らせる環境を整えることができれば、屋内だけでも充分に心地よく暮らしてもらうことができます。
生まれた時から屋内だけで育ったベンガルは、自分の見える範囲のみをテリトリーとしていて、自分から外に出たがることはありませんが、一度でも外に出すとベランダやお庭を「自分のテリトリー」と認識し毎日見回りに行かなくては気が済まなくなります。
もちろん、毎日同じ時間にお庭やベランダに出してやれるなら構いません。
毎日同じ時間に昨日と同じように出してやれなければベンガルにとって、とてもストレスになります。毎日同じ時間に出してやれそうになければ、屋外へは全く出さないことをお勧めします。
もしもベンガルが窓の外を見つめていても、それは外に出たいのではなく、窓から見える自分のテリトリーを見回りしているのです。心配しないでください。
猫は犬とは違い、飼育にあたって広さはあまり必要ではありません。
特にベンガルは運動量の多い猫なので、広さよりも二段以上のケージ・キャットタワーなどの上下運動ができる高さや、家具による段差・外の景色が見える窓、高いところで休めるスペース、ひとりで隠れることができるスペースなどを用意しましょう。
子猫を迎え入れるにあたって家具の配置などを換える予定があるなら、子猫がおうちに来る前に配置換えを済ませておきましょう。
お引越しで変わった環境にやっと慣れたころに、家具の配置換えなどをすると子猫がまた途惑うことになりかねません。
子猫は好奇心旺盛でとても身軽ですから、走り回ったり、ジャンプしたり、いろんなところに登ったりします。
猫には犬のような躾はほとんどできません。
何かを壊されて猫を叱っても猫はなぜ叱られたのかを理解できません。
嫌な思いをしたことだけを覚えてしまって猫から嫌われるだけなので、壊れやすいものは片付け、倒れやすいものは固定して、事故のないように対策をしましょう。
繋留飼育や常時ケージ飼いはおすすめ出来ません。
部屋の中を自由に散策させてあげましょう。
フードについて
もともと、すべての猫は肉食です。一般のフードをご購入の際には、フードの袋の裏面に記載の原材料名を良くご確認ください。
原材料は含有量が多い順に記載されています。
原材料名の一番初めに「穀物」「穀類」「とうもろこし・小麦・大麦・米・大豆」など穀類が記載されたフードは肉食獣である猫には消化しにくく、腸に負担をかけるのでお避けください。
毎日の食事には総合栄養食と書かれたフードを与えてください。
一般食・間食と書かれたフードは「おやつ」ですからご注意ください。
子猫は一度にたくさんの餌を食べることはできません。子猫の期間は置き餌にして、いつでも好きな時に好きなだけ食べられるようにしてあげてください。
置き餌の食べ残しに餌を足すのは衛生上好ましくありません。置き餌にしていても食器を一日に最低でも一度は洗って清潔にしてあげましょう。
避妊・去勢手術ができる時期になれば置き餌でなくても大丈夫になってきます。
避妊・去勢手術後はフードの袋に記載の体重や月齢に適切な量を一日2~4回に分けて与えてください。
開封後は時間とともに空気に触れることによる酸化と光による劣化が起こります。フードは開封後長くても一か月以内に食べきれる量の大きさの袋で購入しましょう。
人間の食べ物は猫にとって塩分・糖分が多すぎます。また人間にとって栄養となる食べ物でも、猫には中毒を起こす食べ物もあります。
人間の食べ物は絶対に与えないでください。
特に、玉ねぎなどのネギ類・チョコレート(カカオ)などは中毒を起こします。
また観葉植物・アロマオイルは種類によっては中毒を起こすことがあります。誤食などしないよう注意しましょう。
牛乳は与えないでください。下痢を起こす原因になります。
水について
水道水(沖縄除く地域)を与えてください。
日本の水道水は人が飲んでも大丈夫な基準が保たれている軟水です。
水道水をこまめに(一日一度以上)取り替えて新鮮な水をたっぷり与えてください。
市販のミメラルウオーターはカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが多く含まれ硬水であることが多いので猫にとっては尿結石などの原因になる可能性があります。
ミネラルウォーターを与える場合には軟水に分類される猫専用のものを選びましょう。
食器・水入れ(給水器)について
食器・水入れは、それぞれ滑り止めのあるものや、大きめのグラタン皿などの陶器のような重さのあるものを用意しましょう。
食器・水入れは一日一回以上必要に応じ洗って清潔に使用しましょう。
ベンガルは水遊びを大変好みますので、水遊び防止のため循環式給水器を利用するのも一手です。
循環式給水器を使用する場合はフィルターや容器は定期的に清掃し清潔に保ちましょう。
トイレについて
猫はとてもきれい好きな動物で、猫自身はほとんど無臭です。
猫が臭いと思われているのは糞尿の臭いのせいです。トイレが汚れていたり騒がしい場所にあったりすると、トイレ以外の場所で粗相をすることがあります。
トイレはあまり人目につかず静かな場所を選んであげましょう。
(テレビ・洗濯機の横などはNGです。)
また、トイレを定期的に清掃し、清潔に保つことで猫の健康と安全を図り、お部屋の糞尿臭も軽減されます。
夢猫庵ではトイレトレーニング終了後の子猫をお渡しいたしますが、お引越しによる環境の変化などで途惑う仔もいます。
子猫がソワソワしたり、前足で砂をかくようなしぐさをしたら、そっとかかえてトイレに連れて行ってあげてください。何度か連れて行って教えると自分でトイレの場所を覚えることができます。
トイレは屋根有り・屋根無し・ハーフカバーなどさまざまな型のものが販売されています。トイレ用の猫砂も固まるタイプやシステムトイレ用の固まらないタイプ、崩れて落ちるタイプがあり、素材も鉱物系、おからや木質チップなどさまざまです。
子猫の個性で好き嫌いがあるようですが、基本的にはブリーダーのところで使っていたものと同じような形状のトイレを選ぶと無難でしょう。
Cattery夢猫庵ではシステムトイレに崩れる木質チップと毎日交換用のトイレシートを使用しています。
トイレの数は、猫の数プラス1個が理想的です。
手入れについて
爪とぎは専用の爪とぎ器(段ボールや麻素材)を用意し、子猫が爪を研ぐ素振りをしたら連れて行って教えてあげましょう。
猫の爪は定期的に猫専用の爪切りを使用して切りましょう。
爪の根元の血管や白い神経に注意し、爪の先端の透明な部分だけを切ります。
子猫の頃から爪切りに慣らしておくと、爪切りを嫌がらず楽に切れるようになります。
猫の爪を定期的に切っておくことで、何かの拍子に引っ掛かれても深い傷にならずにすみますし、カーテンや網戸に引っ掛けて猫が怪我をすることも防げます。
短毛種のベンガルにはシャンプーはほとんど必要ありません。
汚れが目立つ場合には専用のシャンプーを使用して手早く洗ってあげましょう。
ブラッシングも一日一回程度で十分です。被毛を清潔に美しく保つため、またコミュニケーションとして優しくブラッシングしましょう。
猫の皮膚はとてもデリケートですから、ブラッシング用のブラシは猫専用のものでブラシの先端が丸く、ご家族さまがご自分の髪をとかしても頭皮が痛くないようなものを用意しましょう。
猫の耳は複雑な造りをしていますので、ご家庭での耳掃除は思わぬ事故につながりかねません。耳掃除はご家庭ではしないでください。
耳垢など気になる場合は必ず獣医師に相談しましょう。
個体識別・迷子防止について
室内飼育をすれば首輪や迷子札は必要ないように感じますが、迷子札やマイクロチップを装着することで、万が一の遁走や災害時に迷子になった猫を見つけ易くし、所有者を明らかにすることで、野良猫と間違えられる危険を防ぎます。
首輪に迷子札を付ける場合は、素材を吟味し安全で音が出ない首輪を選びましょう。
キャリーバックについて
定期的な健康診断やワクチンのため動物病院に猫を安全に連れて行くために、また災害時の同行避難のために、持ち運びができるキャリーバックを用意しましょう。
いざという時に嫌がらずに入ってもらうために、普段から隠れ家として抵抗なく使用できるようにしておきましょう。
猫を出し入れする扉が2か所あるキャリーが便利です。
その他
キャットタワーやケージ、おもちゃなどはなくても構いませんがあった方が便利です。
キャットタワーは遊び場だけでなく自分だけの高くくつろげる場所になります。
ケージも二段以上のものを用意しておけば遊び場や隠れ家になります。
たとえば猫の頭数が増えてどちらかの猫が病気や怪我で、隔離が必要になった時などに役に立ちます。
おもちゃを使ってご家族さまが遊んでやることで、猫の狩りの本能を満たすとともに猫とご家族さまのコミュニケーションにもつながります。
猫を理解するための10の約束
出典元:All About 岩田麻美子氏
この「猫を理解するための10の約束」はAll About で猫の専門家・猫ガイドとして情報発信されているNPO法人 どうぶつの福祉を考える会 代表の岩田麻美子氏が発表されたものです。
これから猫を飼うすべての方に、猫とはどういう生き物かを理解して頂き 猫を大切に適正飼育・終生飼育して頂くために、岩田 麻美子氏に直接、転載の許可を頂きました。
あたしの中にはたくさんのあたしが存在するの。
時々どれが本当のあたしか自分でもわからなくなるくらい。だから、あたしが気まぐれな態度をとっても、あなたはドキマキしないで、ドンと構えていてね。
あたしは小さな犬じゃないのよ。
だから、あたしには猫のためのご飯を用意してね。
あたしはこう見えても小さな肉食獣なの。
あたしは自分で身体をキレイにするのが大好き。
でも、もし、あたしの身体がいつもより汚くなってきたら、それは具合が良くないサインだと気付いてね。
こう見えて私はヤキモチ焼きなの。
あなたが何かに夢中になっているとき、あたしは少しヤキモチを焼くことがあるわ。
構われすぎるのはイヤだけど、あたしの存在を無視されるのはもっとイヤ。
あたしは自分のリズムで生活するのが好き。
可愛いフワフワのぬいぐるみ、って思うかもしれないけれど、あたしはちゃんと自分の意志を持っているのよ。
あなたの都合であたしを構い過ぎたり、無視したりするのは止めてね。
あたしは高いところから眺めるのが大好き。
だからあたしがいつでも高いところに登れるようにしておいてね。
あたしの腎臓はとても働き者なの。
あたしがお水をたくさん飲めるように用意しておいてね。
引越すときは、何があってもあたしを連れて行ってね!
「猫は家につく」なんていうけれど、あたしがあなたを選んだから、あなたのそばにいるのよ。家の中の生活に馴染んでしまったら、あたしは外では生きていけないの。
あたしにはあなたの気持ちがわかるのよ。
あなたが落ち込んでいるとき、寂しいとき、あたしにはすぐにわかるわ。
そばでのどをゴロゴロ鳴らすしかできないけれど、あたしがいることを忘れないでね。
あたしの時間は、あなたより速く過ぎていくの。
何時かあたしが年寄りになって、暗く冷たい静かな場所に閉じこもるようになったら、あなたとのお別れが近いかも知れないと気付いてね。
あたしの姿がここになくなっても、あなたの中であたしが生き続けることができるように、どうかあたしと暮らした日々を覚えていてね。